生活全体を見渡すケアを、中野市で実践するNPO
特定非営利活動法人 幸寿会が掲げる「まるごとケア」という言葉は、部分的な支援ではなく生活全体を視野に入れた関わりを意味している。長野県中野市に2つの施設を持ち、小規模多機能型居宅介護と認知症対応型通所介護という異なる機能で地域の介護ニーズに向き合ってきた。スタッフが利用者一人ひとりの生活を日常的に把握できる規模感を意図的に維持しており、それが支援の細やかさに直結している。代表の石塚 豊氏は、「その方らしい人生に寄り添う大切な役割を担っている」と介護の仕事を位置づける。
どの施設も規模が大きければいいわけではない、という現場の実感がここには宿っている。顔と名前と生活歴を知るスタッフが継続して関わり続けられる環境は、ご利用者様とご家族の双方に安心感をもたらしているという声が目立つ。
変化に気づき、動ける職場環境をスタッフ全員でつくる
支援の質を高めるために特定非営利活動法人 幸寿会が力を入れているのが、スタッフ同士が気づきを共有しやすい職場の雰囲気づくりだ。風通しのよい環境の中で意見を出し合うことで、個々のスタッフの気づきが施設全体のケアに反映されやすくなる。代表の石塚氏は「スタッフ同士が助け合い、相談しやすい職場づくりを大切にしてきた」と語っており、組織の方向性として明確に意識している部分だ。子育て中のスタッフがいきいきと働く職場環境は、実際にそうした運営方針の結果として生まれたものといえる。
処遇改善手当が毎月安定して支給される点は、求人ページでも強調されており、長く働き続けられる条件面での整備として機能している。正社員・パートのどちらの形態でも相談できるため、ライフスタイルの変化に合わせた雇用調整がしやすい。
認知症のある方のペースに、ゆっくりと寄り添う支援
「まるごとケアの家 やわらぎ」が担うのは、認知症対応型通所介護という専門性の高い支援だ。変化に敏感なご利用者様に対して、落ち着いた空間とスタッフの継続的な関わりを通じて、少しずつ安心感と信頼を積み上げていくアプローチをとっている。こちらのタイミングではなく、その人のリズムに合わせて関わることを徹底しており、日々の小さな表情や言動の変化を見逃さない観察眼が求められる。こうした仕事の積み重ねが「やりがいのある仕事」として現場スタッフに語られることが多いという。
認知症ケアの難しさは、成果が見えにくいことにある。それでも毎日の関わりの中で築かれる信頼の手触りが、スタッフを動かし続けているのだと感じた。
地域の「コマッタ」に一歩踏み込む、ビジョンの実践
特定非営利活動法人 幸寿会がビジョンとして据えているのは、地域の生活者が抱える困りごとや不安に対して、「一歩踏み込んで向き合う」姿勢だ。表には出にくいSOSのサインを見逃さないために、スタッフが日常的に地域と接点を持ち続けることを大切にしている。既存のサービスの枠に当てはめるのではなく、その方の状況や想いに合わせて支援の形を模索し続ける姿勢は、NPO法人としての使命感と重なる部分が大きい。「地域に必要とされる存在であり続けること」という言葉は、現場の判断軸にもなっている。
未経験者への窓口も開けており、真面目さと誠実な人柄を重視した採用を続けることで、多様なバックグラウンドを持つスタッフが介護の現場に入りやすい環境を整えてきた。


